DONZOKO

秘境へようこそ

個人的におすすめなアジカンの曲

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ソラニンとリライトしか知らない、とか最近ちょっと好きになったので他の曲も聞いてみたい、みたいな人向けにアジカンのおすすめ曲を紹介していこうと思う。毎回のごとく本題までが長いので、興味がない人は目次機能でスキップしてほしい。あと、曲紹介の途中で脱線しまくっているので、手っ取り早く曲だけ知りたい人は流し読みしていただければ幸いだ。

 

自分にとってのアジカン

過去にも何度か言っているが、アジカンが大好きだ。中学生くらいのときから聴いてはいたのだけれど、当時は『BEST HIT AKG』と『ソルファ』くらいしか聴いておらず、自分の中では「そこそこ好きなアーティスト」くらいの位置付けだった。

 

しかし、ここ3年ほどでどっぷりハマった。一生聴き続けると思う。俺は九州の宮崎という秘境で生まれ育った。アーティストがライブに来ることなんて滅多にないし、福岡に出向くにしても車で5時間以上かかる。だから周りの友達なんかもライブにいってる奴なんてほとんどいなかった。

 

そういう環境で育ったもんだから、勿体ないことに、俺の中では音楽=プレイヤーで聴くもの、という図式が出来上がってしまった。大学進学を機に関西にやってきたが、それでもライブに行くという発想が出てこなかった。

 

去年、人に誘われてアジカンのライブに行った。その時点でアジカンのことは相当好きだったが、このライブで更に好きになった。好きなアーティストを観に行くのはこんなに良いものかと。普段からよくライブに行っている人からすれば当たり前なんだろうが、ライブ童貞の俺には衝撃的な体験だった。

 

写真で見たまんまのゴッチが出てきて感動した。「え!?あれゴッチ?ほんとに!?」とか言っていた。ゴッチだろ。俺が一番好きな『架空生物のブルース』の演奏も聞けたし、神戸の海沿いにある小さなライブハウスでのライブだったから、メンバーとの距離も近くて最高だった。ラストが『海岸通り』でちょっと泣きそうになった。というか泣いた。

 

味をしめた俺は今月末に行われるライブに応募して当選した。やったぜ。またアジカンに会えるんだい!

 

おすすめ曲

長々と個人的なことを書いてしまった。本題に入る。思いついたままに紹介していくので、順番に特に意図はない。

 

架空生物のブルース

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冒頭でも好きな曲だと紹介した。この曲が入っている『マジックディスク』というアルバムはブラスやストリングスなどを導入しており、音の豊かさではアジカンのアルバムの中でもトップクラスだ。おなじみ中村佑介氏が手掛けるアートワークにも気合が入りまくっている。ゴッチ曰く6面デシパック仕様のジャケットで「中村君を殺しかけた」そう。

ゴッチ著『凍った脳みそ』においても、

 我ながら会心の作だった。友達に自分の作品を配り歩く機会があるならばこの作品にしよう、と思えるくらい気に入っていた。

 ところが、あまりにいいアルバムを作ってしまって、ライブで再現するのに人手が足りなくなってしまった。四人でリアルタイムに立ち上げるには、作品のサイズが大きすぎた。

と、語られている。実際に、アジカンの中でも1,2を争う傑作だと思う。様々な楽器が奏でる音と、確かなアジカンらしさが融合したサウンドは、まさにロックの魔法といっていい。『架空生物のブルース』はエロチシズムを非常に文学的に綴った曲。難解すぎて最初は何を歌っているのか分からなかった(笑)。まあ、歌詞が難しいのは何もこの曲に限ったことではないのだが。「最深部で濁るブルー」というフレーズが綺麗で気に入っている。明け方の雲に混じる、煙でいぶしたような紫がかった青が浮かんでくる。一言でいうと何だろう、ブルーグレー?

最初に聴いたときは面食らってしまった。今まで聴いたことのないサウンドだった。サビ後の楽器が織りなすサウンドが、音の絨毯のようで聴いていてめちゃくちゃ気持ちがいい。その日はひたすらリピートしていたし、今でも一日に1回は必ず聴いている。超名曲。

 

ラストダンスは悲しみを乗せて

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マジックディスクからもう1曲。『架空生物のブルース』のひとつ後の曲。全曲とは打って変わり、アップテンポで打楽器が咲き乱れる。楽器に詳しくないのでなんという楽器が使われているのか分からないが、どこか民族音楽を感じるリズムの良さが耳に残る。こういう音の多様さがマジックディスクが名盤たる所以だろう。この曲の見どころ、というか聴きどころは何といってもラスト40秒で連発される「アイ・ラブ・ユー」だろう。

「アイ・ラブ・ユー ラブ・ユー ラブ・ユー」では遠いよな

反吐が出る でも溢れ出して

と言いつつも、最終的にアイラブユーに帰ってくるところが好きだ。不器用というか、泥臭いというか。でも決してヤケクソでないところがいい。この曲を聴けば、悲しいことがあっても腐らず真っすぐに生きていける、そんな気がする。個人的には物を探しているときに口ずさんでしまう。君はどっこっ、トゥットゥットゥルッ。

 

十二進法の夕景

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歌詞解釈はあまり得意ではないのだが、十二進法=時間に翻弄されることを歌った曲なのだと解釈している。もっと深い意味が隠されてはいるとは思うけど。

十進法で巡る思いを

何処かで追い抜いた針を

巻き戻して

ふたつ心に付け足して

進めて

赤字の箇所でのバズロール(っていうのか知らん、とにかくドラムを連打するアレです)が、時間に追い抜かれていく様を表している、のかな。そして青字の箇所、「巻き戻して」のところからドラムのリズムがゆっくりに変わるところが面白いなあと。この後からがこの曲の真骨頂だ。

デジタル時計 

数字の列に溶けて

振り出しまで僕を舞い戻すように

朝焼け

凍り付いた海に月が沈んで

光る太陽に僕は迷子になる

夕景

夜が音を立てて追い出す影

君をやり込めるように

さあ 行け

すべて灰になっても

自分で消した時が君の最後に

君の最後になる

何です、このめちゃくちゃ綺麗な詩は! 文筆家としても活動する、ゴッチの表現力が前面に押し出された歌詞だ。俺が同じことを書こうとしたら「夜通しゲームしてたらもう朝じゃん、死にてー」みたいなチープさの底に埋もれているような下品な詩になるだろう。というか最早詩ではない。自分で消した時が最後、つまり諦めたらそこで終わり、というような意味合いの歌詞のあとに響く「誰のせい?」がどこか物寂しさというか、やりきれなさを感じさせる。ちなみにこの曲、カラオケで歌うと中々にしんどい。

 

ひかり

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東日本大震災当時、テレビに移される様子を見ながら、どうしたらいいか分からない心情を歌った曲。

 

tower.jp

曲ができた経緯について、ゴッチ本人が語っている。震災当時、俺は中学2年から3年に上がろうという時期だった。たしか学校が終業式だか卒業式だかで早めに終わって、帰った後に自室で昼寝をしていた。母親が血相を抱えて、「日本が大変なことになっている」と言って俺を起こしに来たことを覚えている。街が津波に飲まれる様子を眺めて呆然とした。恥ずかしいことだが、「津波やべー」くらいにしか思っていなかった。東北には縁もゆかりもなかったし、九州はほとんど揺れなかったから、実感もわかなかった。中学生であったことを抜きにしても恥ずかしいことだと思う。しかし、当時こういう風に感じていた、というよりむしろ何も感じていなかった子供が被災地以外には多かったのではないだろうか。実際、震災後に中学校で「被災地の中学生たちを元気づけるために絵手紙を送る」という取り組みがなされたが、その時間では皆ふざけあいながら作業していた。本当に被災地のことを思えば、むしろ何もできずに無力感に苛まれるのが自然だと思う。あの時間に真剣に被災地を思って作業していた同級生が果たして何人いただろうか。

 

そうやって、俺みたいに震災当時に事の重大さを理解できなかった人間が、震災について考えるきっかけをこの曲は与えてくれる。宮崎から神戸という街に出てきたが、この街も1995年に大きな震災に見舞われている。何千人という人が亡くなった。俺がこっちに来てからすぐに地元近くの熊本で地震があったし、2018年には大阪で地震があり、神戸も結構揺れた。TVやYoutubeでみた津波の映像がフラッシュバックして、防災グッズの入ったバッグを背負って六甲山まで走った。津波は来なかったけれど、その恐怖はしっかり刻まれているのを実感した。仲良くしてくれる後輩の地元は札幌であり、「北海道で震度6強」のテロップがスマホに映し出される度に嫌な汗をかく。

 

画面の向こうに映し出されるだけだった地震を、少しでも肌で実感した後に『ひかり』を聴くと、3.11がもたらした悲しみがどれだけのものだったか、少しずつ分かるようになってきた。

 

TVでは遠く街並みが映って

僕らは何処へも行けずにいる

君の小さな指も

彼にはひかりのようだったろう

共に在った日を忘れられずに

彼は生きて行くのだろう

 

 

せめて僕は憶えていよう

東京の街で途方に暮れた日々を

せめて僕は憶えていよう

圧倒的なこの無力を

花びら

春の風

木陰の居眠り

海辺の街並

君を思って祈る

涙なしでは聴くことが出来ない。日本列島に足を着けて生きて行く以上、地震を切り離して考えることはできない。もし地震に襲われたとき、自分自身の命、そして周りの人を助けるには、過去の震災を忘れないことが大切だと思う。よく言われていることだし、今更お前に言われんでも分かってるわ、と思われるだろうが、自分のように当事者意識の薄かった人間が震災について考えるには、「絆」とか「前を向いて」とかいう言葉ではなく、こういうリアルな部分を歌った曲の方が影響を持つのだと感じた。

 

3.11から今日で8年ということもあり、少し長くなりました。

 

 Caterpillar

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この曲が収録されているアルバム、『Wonder Future』は全曲がLAにあるFoo FightersのStudio 606で録音されている。アジカンの中でも骨太でロックなアルバム。ゴッチの思想が色濃く反映されているアルバムであり、それ故苦手としている人も多いんだとか。めちゃくちゃカッコイイ曲が多い(Eternal Sunshineとか、Standardとか)ので、それだけで聴かないというのは勿体ない。ゴッチ自身も「こういう発言ばかりしているから、アジカンの曲は好きだがメガネがうざい、とか言われる」とネタにしていたりするが(笑)。「アーティストや芸人が政治の発言をするな」という意見があるが、それはちょっと違うんじゃないかな、と思う。俺は思想的にはどちらかというと右寄りだし、ゴッチの意見とは違う部分が多いが、だからといって「アジカンは好きだけど、ゴッチのTwitterはちょっとねえ」とか言いたくはない。俺のブログを例に挙げるのは非常に恐れ多いが、このブログだって、写真・服・靴・映画とかの俺の好きな物事だったり、むかついたことだったり、嬉しかったこと、だったりで構成されている。

 

何が言いたいかというと、「創作」という行為はその人の考えていること、見たこと、経験したこと、持っているもの、好き、嫌い、その他諸々である点と点が線で繋がれた先に生まれるということだ。そういう考えを持っているから、「曲は好きだけど、発言が嫌い」という意見は矛盾しているように思う。そういう発言とか思想が材料になって、アジカンの素晴らしい楽曲ができあがるのだから。

 

「曲は好きだけど~」は抜きにしたとしても、意見が違うからといって「発言するな!」はおかしな話だと思う。違う考えだからこそ学ぶ点も多いはずだ。「政治については喋るな」って、色んな意見を汲み取るのが民主主義じゃないのか。1948年から1958年にかけて中学・高校で使われていた社会科教科書『民主主義』にも

国民はよく政治を知らなければならない。政治に深い関心を持たなければならない。自分たちの力で政治をよくして行くという強い決意をいだかなければならない。政治のよしあしを身にしみてかみ分けることのできるのは、国民であるから、この国民の手で政治を行うのが、政治をよくする唯一の確かな方法である。

 と書かれている。政治の話をするのは、本来民主主義に不可欠な要素なのだ。意見が違ったら「それは違う!」と反論するのは勿論全く間違ったことではないし、「ムカつくことを言ってるから聞かないでおこう」と思うのも自由だ。けど「黙ってろ!」と相手の意見を遮ってしまうのはちょっと危険かな、と思う。右寄りの人だって「憲法改正=戦争!論外!」とか言われたらムッとくるだろう。大切なのは「何故そう思うのか」と相手の意見の理由を知ろうとすることだ。

 

と、偉そうに熱弁しておいて、俺は住民票を移していないから選挙いってなかったりするんだけど(笑)。レーザー照射を巡っての韓国側の言い分にはうんざりしたりするし、Appleが憎いという記事を書いたり、もっとミクロなレベルで、バイト先に来るムカつく客に心の中で悪態をついたりするが、まあ、話し合いの姿勢は大事だということは忘れないでおきたい。ネットが一億総監視社会のようになってきているから、そういうデリケートな話題は難しいとは思うけど。

 

なぜここまで話が脱線したかというと、『Caterpillar』が資本主義を皮肉った曲だからだ。

魂の値段はいくら

僕にそっと教えてよ

お金だけが物差しさ

君をこれから買い叩く

淀んだグレーの工場街でまとめて

顔を削ぎ落とす

個性なんて必要ないさ

家畜のように飼い慣らす

そんな未来が近いだなんて

冗談だって言えるのかい

この歌を最初に聴いたとき、題名をCapitallerと勘違いして、資本主義者、みたいな意味かと思っていた。Capitallerなんて英単語はない。バカ。ゴッチ本人は直接的な表現を避けて、Capitalから文字だけ転がしてCaterpillarにしたんだそう。就活中に聴いていたら不安な気持ちになった。社会主義や共産主義に賛同するつもりは全くないが、資本主義が目先の利益を求めたときに孕む危険性について、我々は思い出す必要がありますな。

 

ゴッチのソロアルバムを聴いてみれば、彼の考えが単に「左翼」だとか確認「左寄り」といった型に当てはめたようなものではないことが分かる。ということをいちファンとして付け加えておきたい。

 

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穏やかな曲だったり、ハッピーな曲が多い。聴いてて幸せになるよ。

ボーイズ&ガールズ

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ちょっと暗めの曲が続いたので、明るいのいきましょう(笑)。最新アルバム『ホームタウン』のラストを飾る曲かつ、アジカン平成最後のシングル曲。ゴッチ曰く、アルバムの中で一番歌っていて気持ちいい曲だそうだ。俺もカラオケにいくと毎回歌っているが確かに気持ちよく歌える曲だ。特にラスト「いっじゃ~すびが~~~ん」を綺麗に歌えたときは絶頂しそうになる。謎の言語で歌われた曲だと誤解を生まないために正しい歌詞を載せておく。「it's just begun」である。はじまったばかり。希望が持てる曲だ。

そんな日も

生き急ぐように きっと

ねえ Boys & Girls

教えてよ そっと 夢と希望

まだ はじまったばかり

We've got nothing

4月から新社会人としての生活が始まるが、この曲にお世話になること間違いなしである。上司に怒られたら、その場で「いっじゃ~すびが~~~ん」と絶叫することを全国の新入社員に奨励したい。

 

ホームタウン

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アルバム『ホームタウン』の表題曲。『ボーイズ&ガールズ』に負けず劣らず、元気付けられる曲だ。このアルバム制作において、ゴッチは重低音に物凄い執念を見せている。表題曲『ホームタウン』は中でもドラムの存在感が際立つ曲だと感じる。個人的に1:10からのサビ~「こんなことして~」にかけてのドラムがたまらなく好きだ。ブルートレインと同じくらいドラムに存在感のある曲だと思う。

俯いていては

将来なんて見えない

ほら 雨上がりの空から

子供たちが覗いて笑う

ホームタウン

子供が走り回る公園を散歩しながら聴くと幸せになれる。あとPVがシュール。

 

クロックワーク

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『ホームタウン』からもう一曲。この曲もドラムが素晴らしい。専門的なことが分からないので、何ビートとか何打ちが素晴らしい、みたいな感じで綺麗に表現できないのが悔しい。とにかくバスドラの音が気持ちいい。ドスッドスッと響いてくる感じ。『凍った脳みそ』内で、『Wonder Future』の録音をLAで行ったときの様子がこう綴られている。

 日本人ドラマーのなかでも特別に打音の小さい部類ではなく、どちらかといえばそれなりに音の大きなプレイヤーである彼が「ソフトタッチ(笑)」と言われている。確かに巨熊のようなドラムテックは、ドラムセットを叩くというよりはしばいている感じで、ズシズシと繰り出す打音の一発一発が濃密に感じられた。握りすぎた握り飯、みたいな圧があった。

 アメリカでの経験を経て、伊地知氏がドラムをしばいてこの音が出来上がったのかな、とか想像しながら聴くと楽しい。『凍った脳みそ』やゴッチのブログを読むと、レコーディングがいかに奥深いものかを垣間見ることができた。

 

バイシクルレース

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爽快感のある曲。中高生の頃にこの曲に出会いたかった。自転車を立ち漕ぎしながら聴けばETみたく空を飛んでしまうくらいに気持ちよくなれるだろう。

錆びたペダル

色が褪せたサドル

漕ぎだせ 走りだせ

振り返れば

見えなくなって

誰もいなくなったって

高めのロングトーンがある曲が好きなのだが(前述の『Caterpillar』や『ひかり』もそう)、この曲の「誰もいなくなったってぇ~」のロングトーンはアジカンの中でも特に好きだ。爽快感&開放感。

 

君という花

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名曲中の名曲。詳しいことはよく分からないけど、四つ打ちとオクターブギターのダンスビートがなんちゃらで、ロックシーンにおいても重要な曲なんだとか。確かに一度聞けば覚えられる特徴的なリズムの曲だ。この曲は『サイレン』や『君の街まで』などと共に、アジカン初期におけるシュールPV郡を構成している。マメ山田がピエロの恰好をして紙吹雪をまき散らしたり、ゴッチがスローモーションで釣り竿をキャスティングしたりする。ライブで盛り上がること間違いなし。らっせーらっせ!

 

 

おわり

キリのいい10曲までいったので、今回はここまでとする。脱線が多くて文字数がかさばってしまった。まだまだいい曲がたくさんあるので、機会があればまた紹介していきたい。最後まで読んでいただきありがとうございました。