DONZOKO

秘境へようこそ

天才

f:id:chicken0215:20200104024241p:plain

現在、ちょっとした旅行で名古屋に来ている。年末年始は何かと名古屋に来ることが多い。そして大抵カプセルホテルで寝ている。今も例に漏れず、名古屋駅近くのカプセルホテルで寝っ転がっているのだが、廊下を挟んで向こう側のおっさんのいびきが正に轟音で、寝付くことが出来ない。辛い、素直に。

この機会を利用して、というか単に暇つぶしと言えるかもしれないが、スマホを使ってブログを更新することにした。パソコンに比べて色々な昨日が制限されるため、あまり好きでは無いのだが。まあ、とりあえずは更新してしまって、細かい所はパソコンで調整すればいいか。

先頭画像は、最近プレイしているラブプラスのスクショ。凛子かわいいよね。ロリコンじゃないです。

ここ最近モノについての記事ばかり書いていたので、今回は少し力を抜いて雑記系の記事にしたいと思う。もっとも、モノ系の記事に力が入っているかと問われれば、黙るしかないのだが。ラブプラスは転入してきた高校2年生の男子となって、可愛い女子とイチャコラする実にけしからんゲームである。あまりの華々しさに自分の実際の高校生活と対比させながらプレイしてしまう。俺がどんな陰気な高校生活を送ってきたかは何度かブログでも書いた気がする。ラブプラスでは部活はテニス部、委員会は図書委員、バイト先はファミレス、と固定されていて、その先々で出会う女の子達と恋愛を進めていく。ヒロインは3人で、二股はできない。先に紹介した凛子ちゃんは委員会で出会う女の子である。実際の高校生活はというと、部活は帰宅部、バイトは禁止、だったのだが、委員会は何を隠そう図書委員だったのだ。

もちろん、図書委員に凛子ちゃんのような可憐な女子はいなかった。俺、オタクじゃないように振舞っているがオタクの性質を隠しきれていない濱口くん(仮名)、そして今回の話の主役となる校内随一の頭脳を持つ村瀬くん(仮名)の3人だった。全員男子であった。恋愛の芽がニョキニョキと伸びる土壌など存在しなかったことは、言うまでもないだろう。

俺の母校は典型的な田舎の自称進学校であったから、都会にある本物の進学校に比べれば、当然優秀な人間は少なかった。しかし、そんな中にも村瀬くんのような本物は存在した。村瀬くんがどれくらい頭が良かったかと言うと、某旧帝大学の医学部に首席で合格するレベルである。大学受験経験者なら、彼が如何にバケモノじみた人物であるかがお分かりいただけると思う。村瀬くんが高校2年生のときに、化学の実験で全国的な賞をとっただか何かで、その実績を買ってとある超名門大学の理学部から直々に入学のオファーがあったという噂だ。村瀬くんはというと、「やりたい研究に医師免許必要っぽいから、ええわ」というようなことを言ってオファーを断ったらしい。本当かどうかは分からないが、彼に限れば如何にもありえそうな話である。

村瀬くんは努力の人、というよりは才能の人物だった。もちろん旧帝医学部首席という偉業を達成するには大変な努力が必要だったのだろうが、彼の場合、「学びたくてしょうがない」という姿勢を持っていることが外から見ていてもありありと分かった。何事も学問や研究として捉えるような人だった。図書委員は清掃の時間になると、図書館の掃除をしなければならなかった。クラスメートの女子と教室でイチャイチャしながら掃除することは叶わなかった。薄暗い閉架書庫で、無限に溜まっているかに思える埃をひたすらにホウキで掃かなければならなかった。まあ、僕のクラスには可愛い女子なんて一人もいなかったので、状況的には似たようなものなんですけどね(大爆笑)。最初こそ真面目に掃除をしていたものの、閉架図書には教師も滅多に出入りをしないため、サボり放題だということが判明した。俺は掃除を放棄し、20分の清掃時間を利用して少しずつ「はだしのゲン」を読み進めていった。たぶんオタクの濱口くんは最初は「何してんだこいつ、、、」というような目で俺を見てきたが、1週間もすれば、彼も熱心なはだしのゲン読者となっていた。村瀬くんは真面目だから普通に掃除をしているかと思えばそうではなく、彼も読書をしていた。「なんだこいつも人の子か」と思いつつ、読んでいる本の表紙を覗き込んでみると、えらく薄汚れていて、なんと書かれているか判別できなかった。村瀬くんが本を棚に戻した後、こっそり中身を確認してみると、明治時代に出版された数学書だった。彼はそういう人間なのだ。ちなみに、我々図書委員の間に友情は一切存在せず、会話も皆無だった。3人が薄汚い空間で、ホウキを片手にはだしのゲンと数学書を黙々と読んでいるのであった。シュール。

これも噂で聞いた話だが、村瀬くんが合唱コンクールの練習中に音楽室の壁を凝視していたことがあり、何をしているとか問うたところ、壁の穴を使って脳内でベクトルの問題を作り、それを解いている最中だという返答があったそうだ。いかにも作り話っぽい噂だが、これに関しては俺は本当の話だと確信している。というのも、俺も極めて似た事例に実際に遭遇したからである。それは高校に入学して間もない頃、昼休みでの出来事だった。トイレで用を足していると、おもむろに村瀬くんがトイレに入ってきた。彼は便器の手前1.5mほどに仁王立ちし、チャックを下ろし、焦点を定め、発射した。それも少し上方に向けて、小刻みに、だ。村瀬くんの村瀬くんから発射された水分、回りくどい言い方で分かりにくいから言い直すが、村瀬くんの尿は見事な放物線を描いた。何度も。美しい、弧を描いていた。奇行を目の前にし、俺は思わず村瀬くんに問いかけた。

「村瀬くん、何してるの?」

彼は一言、こう答えた。

「斜方投射の復習...」

これが高校生活における村瀬くんと俺の最初で最後の会話だった。彼はそうなのだ。小便という極めて日常的な行為の中ですら、物理学と向き合うような男なのだ。一般的な男子高校生が、課題を忘れて怖い数学教師に怒られることに怯えたり、校舎の連絡通路を歩く女子のスカートが風でめくれるのを夜行性のサルのように目を輝かせながら凝視したり、志望校にとりあえずデジタルハリウッド大学と書いたりしている間に(僕は断じてこんなことはしてないですよ!)、村瀬くんは学問と真剣に向き合っていたのである。

天才は奇人と紙一重、を地でいくような人物だった。いつの日か、ノーベル生理学・医学賞を彼が受賞するのを密かに楽しみにしている。頑張れ、村瀬くん。